山梨県内にある浅間神社をご存じでしょうか?
こちらの神社は富士山をご神体とし、山そのものを神と信仰してきました。
古来より信仰されてきた山岳信仰の「甲斐国一宮浅間神社」を今回は取材してきました!
タイトルにもあるように夫婦円満や子授けにもご利益がありますので必見です!
浅間神社の歴史
「木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」をご祭神とし、古代甲斐の国の中心地に建造された!
垂仁天皇8年に現在の浅間神社がある場所から東南に約3キロ離れた神山(こうやま)の麓に祀られたのが始まりと言われています。
山宮神社と称する摂社から木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)を現在地に遷座し、浅間神社が創建されました。865年12月9日のことです。富士山の大噴火「貞観の大噴火(864~866年)を鎮めるためです。
当時駿河の国側には(現在の静岡県)すでに「富士山本宮浅間大社」があったため甲斐国側にも浅間神社を建設して両方向から富士山を鎮めようお祀りしました。
本来は鳥居をくぐると本殿が正面を向いている神社が多いですが、
この神社は噴火の被害を避けるため富士山が見えない場所に位置しており、さらに神様が正面から被害を受けないように本殿が富士山に対して90度横を向いているという特徴があります。
また山宮神社から木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)をお迎えして建てられたこともあり、本殿が山宮神社の方向の東を向いています。
当時は国分寺などが近くにあったことからこの場所に建てられております。そのため噴火が収まった後も甲斐国の神社で最も古い歴史を有する伝統的な神社として崇拝を集めています。
「木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」
「木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」 は神話において子供を産むことに強い信念を持ち
「火の中で出産した」という凄まじい経歴を持っています!
そのため安産や子授けにとても強いご利益があるとされています。
安産祈願をする場所として昔から重宝されてきた由緒ある拝殿で「赤ちゃんが欲しい」と願う人は是非言っておきたい場所でもあります。
地域の産業と共に
甲斐国の中心に位置し、富士山を鎮めることにとどまらず農業、酒造、子授安産の神様として崇拝されていたことから、噴火が収まってからは米、養蚕、果樹といった産業を守る神様として崇拝されていきました。
その後、山梨県で桃やブドウの栽培が盛んになり日本一となります。
そこから通常はお神酒といえば日本酒ですがこの神社ではワインをお供えしてお神酒としており、全国的にも非常に珍しいものとなっております。
さらに近年では、使用済みワインコルクのお焚き上げをし自然にかえす「ワインコルク感謝祭(コルク供養」も3月に行われるようになりました。現在の文化や産業と密接な関係にある浅間神社は地域の方からも愛され続け現在に至るというわけです。
〇ふえふき旬感ネットより 奉納されているワインの様子とコルク供養の様子
https://www.fuefuki-syunkan.net/2011/wine_isyyo4.html
例大祭「大神幸祭」
長い歴史を経て今もなお人々に親しまれる甲州三大御幸祭りのひとつ「おみゆきさん」
甲斐国1番の大祭といわれ、1100年以上昔から行われているとされています!
当時釜無川の氾濫により甲府盆地では頻繁に作物が被害を受けていました。そこで富士山噴火という自然災害を鎮めた浅間神社の神様をお連れしたのが祭りの発端です!
神様が移動することを「神幸(みゆき)」といい、その中でも最大規模のものになると大神幸祭となりやがてこのお祭りは「おみゆきさん」とよばれるようになりました!
毎年4月15日に甲斐市竜王の三社神社まで片道24キロに及ぶ長い行程を神幸の上、釜無川の氾濫を鎮めるため水防祈願祭が執り行われています。
道中ではその時代の国の長がお参りする風習があり、武田信玄もお参りしたといわれています!
現在に至っても山梨県知事もこのお祭りに参加するなど、この風習は続いているようですね!
〇長崎幸太郎後援会HPより抜粋
http://old.nagasakikotaro.jp/kotaroblog/2829
「おみゆきさん」の道中ではブドウ畑に囲まれた沿道でワインがふるまわれるなど、地域の人々に親しまれ続けている大切な祭事です。
〇甲斐市立図書館HPより 画像引用
https://kai.library2.city.kai.yamanashi.jp/furusato_01.html
日本遺産に登録されている!?
「日本遺産」とは地域の歴史的魅力や特色を通じて文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもの、とあります。
甲府盆地の東部は平坦地から傾斜地まで葡萄畑が広がり、初夏には深碧(しんぺき・・・濃い緑のこと)の絨緞や
秋には紅葉の濃淡が日の光に映え、季節ごとに様々な風景を魅せてくれます。
奈良時代から始まったと伝えられる葡萄栽培は、知恵と工夫により、かつて水田や桑畑だった土地を一面の葡萄畑に変え、またその葡萄畑に育まれたワインは日常のお酒として地域に根付いています。
そういった風景が評価され山梨県の峡東地域は日本遺産に登録されているのでしょう!
〇山梨県HPより 画像引用
https://www.pref.yamanashi.jp/kt-kenminc/region/kyotoguide.html
御宝物 武田信玄の太刀も???
この太刀は武田信玄が奉納したと伝えられており、長さ104㎝反りは4.5㎝の鎬造り(しのぎづくり)です。
位次はそこまで高くはないがこの太刀は優れた作品として県指定の工芸となっています。
一徳斎助則(いっとくさいすけのり)の64歳の時の作品で長さ115.1㎝反りは2㎝ の鎬造り(しのぎづくり)です。
一徳斎助則の本名は、田村義事で文政10年(1827年)生まれ明治42年(1909年)に没しました。
出身は一宮町中尾で浅間神社に奉納されました。甲州刀の代表作として、県指定の工芸となっています。
経典とともに残される包紙には、武田信玄自筆の奉納文と花押が押されています!
歴史的にも文化的にも貴重なこの一軸は国の重要文化財に指定されています。
〇甲斐國一宮浅間神社公式HPより 写真引用
http://asamajinja.jp/homotsu.html
境内の様子
「亀ノ松」
境内には入っていくと社務所の前の見事な松に目を引かれます。
この松は「亀ノ松」と呼ばれ、かつては「鶴ノ松」と一対をなしていたそうです。
言い伝えでは、この神社の社家が天神社に籠って願掛けをした際に、松の幼木をもって山を下り植えた木とされています。
植えた人物は古屋蜂城(ふるやほうじょう)は1764年に生まれ1852年に没したとされているので
最低でもこの松の樹齢は170年以上ということになります!
樹齢や大きさにも驚きですが、ここまで成長する間、神社の方々の丁寧な手入れあってこその雄大な松であると感じました。
まさに「日本の心」という感じがしてみとれていました。太陽の沈み具合もあいまってとても神秘的な風景になったと思います。
「女神の井戸」
境内の数か所にあった古井戸が枯れてしまいましたが、たくさんの人から神社の井戸水を御神水としていただきたいと要望があり、神社の鎮座1150年の記念事業として70メートル掘削して掘り当てた井戸水です。
この井戸を御神祭の木花開耶姫命 (このはなさくやひめのみこと) にあやかり「女神の井戸」と命名します。
井戸水を受ける石の手水鉢は、享保19年(1735年)に奉納されたものを移築して使っています。
これを盥盤(たらいばん)といいます。現在の手水舎もこの井戸水を引いて使っています。
大黒天像
商売繁盛と金運アップの大黒天像が展示されています!
地域の産業にも根強くかかわっているこの神社ですので訪れた際にはぜひ祈願しておきたいですね!
歯固めの石
お食い始めでは「歯固め」と呼ばれる儀式を行います!
神様の力のこもった「歯固めの石」により赤ちゃんに「石のような丈夫な歯が生える」ことを願う儀式です。
左の石に儀式の終了後奉納します。
「子持ち石」
拝殿のすぐ前にある子持ち石です。
この石は子授けや安産のご利益があり、母体にいい影響を与えるとされています!
なお、初詣に来た際に拝殿と共にお参りするとさらに良いとのことですので、お正月に訪れた際にはチェックしておきましょう!
陰陽石
境内の鳥居をくぐってすぐ右側に、男性器と女性器に見える2つの石「陰陽石」があります。
陰陽石は、夫婦円満のご利益があるとされていますが、「夫婦の仲が良くなることで子宝に恵まれる」
という子授け成就の祈願場所でもあります!
祓門(はらえもん)
この門をくぐると厄や災難を祓い、神のご加護を得られるそうです!
神社の中で御祈願・御祈祷を行った後に厄ををよける意味でもぜひこの門はくぐっておきましょう!
このような祓門はほかの神社にもあるそうでくぐる際にも作法がある神社もあるようです。
〇荻窪八幡神社 祓門のくぐり方の作法
https://aaroma.exblog.jp/11029392/
干支参り
本殿の右奥に十二支の石像群があります!
十二支石像は、その年の干支をお参りした後に、自分の生まれた干支を回ると開運効果があるとされています!
一風変わった参拝方法ですが、かわいらしい石像群を見ながらする参拝は楽しみながらできるのでお勧めのスポットです!
富士石
十二支の石像の奥に、富士山の形をした石があります。
もともとは富士山の噴火を鎮めるために建築されたこの神社に奉納されています。
なかなか珍しい形をした石ですので訪れた際は是非チェックしておきましょう!
成就石
成就石という珍しい石が設置してあります。
参拝の方法ですが
石の前に立ち、本殿のほうを向き「祓い給え、清め給え、守り給え、幸せ給え」と2回唱えて
この石の上に乗り、2拝2拍手1礼してお願いをします。
正直この上に本当に乗っていいのか、罰当たりな気がして気が引けましたが乗るのが正解ですので気にせず乗って願い事をしましょう。
稲荷社
こちらの稲荷社はもともと七社に祀られていたお稲荷様を新たに祀りなおした祠です。
お稲荷様はどんな願いごとでも叶えてくれるそうですので是非参拝しておきましょう!
一宮浅間神社の夫婦梅(めおとうめ)
高さ7メートルに及び、2月中旬には満開になる夫婦梅!
下の画像でもあるように木が夫婦なのではなく、実が夫婦のようになっています。
果実は2本のめしべが結ぶので1つの花で2つの果実を結ぶ珍しい種類です!
子房(実になる部分)が完全に分かれてれていないため、実も完全に分かれていないのが特徴です!
〇笛吹公式HPより 参考ページ
https://www.city.fuefuki.yamanashi.jp/shisetsu/bunkazaihoka/032.html
斎田(さいでん)
「お田植え」は浅間神社の年中祭事・行事の1つです!
まずは、2月17日「祈年祭(きねんさい・としごいのまつり)」で五穀豊穣を祈り、次に6月17日「お田植祭」を斎田前にて斎行します。
氏子総代(うじこそうだい・・・代表の世話人)により田植が行われ、11月23日「新嘗祭(にいなめさい)」には新穀をお供えし、感謝をささげます。
この「祈り」と「感謝」の祭事を毎年「行う・行える」ことが古来より大切にされてきました。
〇浅間神社公式HPより 写真引用
https://asama-jinja.blogspot.com/2017/
アクセス
〒405-0056 山梨県笛吹市一宮町一ノ宮1684
〇車でお越しの場合
中央自動車道勝沼ICより約5分
甲府方面より「一宮浅間神社入口」の交差点を左折
〇電車でお越しの場合
JR山梨市駅よりタクシーで約10分
〇山梨市駅周辺のタクシー情報
https://www.taxisite.com/station/info/1131127.aspx
〇高速バスでお越しの方
新宿駅西口より中央高速バスで約100分
一宮停留所下車から徒歩で約10分
あとがき
いかがでしたでしょうか?
長い歴史と、重要な文化財も保管され、そして数々のご利益。
訪れるだけで神様のかごを受けることができそうなご利益の多い神社でとてもびっくりしました!
本殿の向きも違和感を感じた結果、調べてみたらしっかりと意味があり興味深く感じました。
是非1度参拝してみてはいかがでしょうか?
では次の記事でお会いしましょう!